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今度こそ最後まで読める投資ノウハウ『投資ミサイル』

  • 2010.05.06

投資ミサイル

著者/訳者:竹内 謙礼 青木 寿幸

出版社:PHP研究所( 2010-04-08 )

定価:¥ 1,365

Amazon価格:¥ 1,365

単行本(ソフトカバー) ( 332 ページ )

ISBN-10 : 4569779077

ISBN-13 : 9784569779072


竹内謙礼×青木寿幸コンビによる小説第2弾『投資ミサイル』を読みました。前作『会計天国』はタイトル通り「会計」がテーマに財務三票の読み方について専門知識のない人でも最後まで読めるように小説形式で学べるスタイルでした。そしてその”最後まで読める”シリーズ第2弾のテーマは「投資」です。

投資ってなんだか難しそう、自分にはあまり関係の話、なんて思っていたし、ロボットが出てくるSFモノだってことだし、そもそもそもそも「投資」+「ミサイル」って何なの?死ぬの?って感じでいざ読み始めるまでは大丈夫なのかなと思いましたが、これがなんともよくまとまっています。株式投資、不動産投資の基礎知識からポートフォリオ理論、事業計画書の作り方、ライフプラン設計、ちょっとした心理学まで、びっちりノウハウが盛り込まれていますが、前作同様、専門的な話も事例や図解を駆使して読者が離脱してしまわないように工夫されています。投資を煽るものではなく、メリット・デメリットをロボットの冷静さで語っているのが好印象です。小説としてみても縦軸となるストーリーもひねりがきいていて飽きさせません。さすがは”最後まで読める”シリーズです。それにしてもよくこんな目茶苦茶な設定を選んだものだ。

「戦略なき投資は失敗する」
肝に銘じて頑張ります(何を?w)。

あらすじ

業績低迷が続くホリデイ産業の課長・道明美穂はある日、新規事業の立ち上げを命じられる。そしてそのプロジェクトの上司としてメインバンクから派遣されてきたのはなんとロボットだった!事業計画書の作成から資金調達、株・不動産投資、ポートフォリオ理論、果ては同居人の恋人との関係まで、ロボット上司の指導のもと美穂の奮闘は続く。果たして仕事、恋の結末は?

『書き方・話し方の秘訣 人間関係も仕事もうまくいく大人のコミュニケーション術』を読んだ

  • 2010.04.17

書き方・話し方の秘訣 人間関係も仕事もうまくいく大人のコミュニケーション術 (ビジネス極意シリーズ)

著者/訳者:床 美幸

出版社:アスキー・メディアワークス( 2010-03-30 )

定価:¥ 1,344

Amazon価格:¥ 1,344

単行本(ソフトカバー) ( 208 ページ )

ISBN-10 : 404868440X

ISBN-13 : 9784048684408


株式会社サポタントの床社長が本を書かれたってことでアスキーメディアワークスさんから1冊いただきました。ありがとうございます。

人材派遣、教育セミナーを提供されている床さんだけにその人材教育で培われたノウハウがぎっしりつまった1冊になっています。とはいえ、杓子定規なビジネスマナー本ではなく、相手との親密度や、文書と口語での変化、オペレーションの流れまで様々なシーンに対応した使える内容になっています。「基本マナー」「すぐに使えるパソコン技・メール技」「知って得する豆知識」など、随所に挿入されるコラムもピンポイントでデスクに常備しておきたい内容です。

社会人になって十数年、新卒採用時に新入社員研修で基本的なビジネスマナーについては学んだものの、以降はOJTのみで振り返りの機会がなかったので改めて勉強させていただきました。自分が新卒採用された時代はようやく社員各自にPCが支給されはじめた頃だったので、当時ビジネスマナーとして教えてもらったのは文書ベースのものばかりでメールについては簡単な内容でしかなかった気がします。そういう意味でも本書で体系的にビジネスメールのノウハウを見直すことができました。ある程度ビジネスマナーには自信があったのですが、それはしょせん自分流、あるいは自社流でしかなく、より汎用性が高い知識として昇華させることができたかなと思います。

社内・社外問わず、たまに「これはビジネスとしてどうなのよ」って思うような話し方・書き方に出会うことがあります。話していることや書いてある内容に間違いがなくとも、ちょっとした配慮が欠けているのでしょうね。伝えたいことだけに終始してしまって、相手の立場になってそれを受け取ったらどう思うかまで想像できていないのかもしれません。

コミュニケーション力向上の1つの手段として本書はきっと参考になると思います。ってことで部下にも回覧します。

本書の構成

  • 今日から使える 相手が動きやすくなる「伝え方」の基本
  • 仕事力が3倍あがる 定番フレーズの使い方のコツ
  • もっと仕事が進む シーン別応用テクニック

本書のポイント(個人的)

  • メール時代の最新ノウハウ
  • コミュニケーションの親密度に応じたバリエーション
  • 話し言葉、書き言葉、両方の豊富なテンプレート

著者について

床美幸/株式会社サポタント
ネット業界に特化した人材派遣サービス、教育セミナーを提供する株式会社サポタント代表取締役。新規サイト制作・企画から毎日の運営まで企業のニーズにあわせて最適な人材を紹介しています。女性スタッフの多い華やかで活気のある会社です。
WEBモバイル業界専門の人材派遣・紹介/セミナー サポタント株式会社
WEB人材派遣・紹介のサポタント

ゼロ年代ベストSF『ハーモニー』と『虐殺器官』

  • 2010.02.25

早川書房の『SFが読みたい!』のベストSFランキング国内編にて2009年第1位に選ばれた伊藤計劃の『ハーモニー』と、同じく2007年第1位の同作者『虐殺器官』を読んでみました。(2008年第1位は貴志祐介の『新世界より』)

ハーモニー (★★★★☆)

ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

著者/訳者:伊藤 計劃

出版社:早川書房( 2008-12 )

定価:¥ 1,680

Amazon価格:¥ 1,680

単行本 ( 354 ページ )

ISBN-10 : 415208992X

ISBN-13 : 9784152089922


核によるテロ<大災禍>により絶滅の危機に瀕した人類は、体内インストール型医療分子により全ての病苦を克服し、医療制度を中心とした理想社会を構築したという舞台設定のもと、そんな社会への抵抗として餓死することを選択した3人の少女の物語。

ただ本書はそこらへんのSF小説とはひと味もふた味も違います。まず、1P目から驚かされるのは本文の随所にHTMLの構文を模した仮想言語:ETML=Emotion-in-Text Markup Languageによるタグが挿入されていることです。HTMLを見たことない人はもうここで読む気なくなるかもしれません。次いで登場人物の名前がやばい、御冷(みひえ)ミァハとか霧慧(きりえ)トァンとか零下堂(れいかどう)キアンとか痛すぎます。他にもやたらと当て字が出てきたりと厨二病全開で、あれれこれはやばいなと不安にさせられます。とか言いながらも100P前後まで読み進んでいくとそれらの違和感もだんだん薄らいでいき、むしろ後半ではそれらが作品の世界観を感じる上で必須な要素に思えてくるから不思議です。ETMLへの言及はネタバレになるので読んでからのお楽しみで。

人工知能が自我に目覚めたり、反対に人間の脳を電脳化したり、「人間の心はどこにあるのか」「意識(わたし)とは何か」をテーマとした作品は多いですが、本作も独特の解釈で読者を魅了します。行き過ぎたソーシャルネットワークによる相互監視社会、高度医療領域のモラルハザードなど大小様々なテーマも盛り込み、技法的にも内容的にも新境地を開いてくれるまさに名作に相応しい作品です。

虐殺器官 (★★★★☆)

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)

著者/訳者:伊藤 計劃

出版社:早川書房( 2010-02-10 )

定価:¥ 756

Amazon価格:¥ 756

文庫 ( 432 ページ )

ISBN-10 : 4150309841

ISBN-13 : 9784150309848


こちらも大規模テロにより荒廃した近未来が舞台です。対テロ特殊部隊の一員としてさまざまな任務をこなしていく”ぼく”は、各地で繰り広げられる大虐殺の影に常にある人物が関わっていることに気付く。その人物は何者なのか、なぜ平和に向かっていた人々が突然殺し合いを始めるのか…って話。

タイトルからも連想される通り死体は山積で、グロテスクなシーンが多いです。テロ行為からの安全とトレードオフで受け入れた監視社会、ミッション達成のためテクノロジーを使い痛覚だけでなく心まで無感覚にすることを受け入れた主人公たち、9・11以降の緊迫感をSFとしてデフォルメして伝えてくれます。また、生物の進化、生存本能、脳科学、哲学、言語などを奥深いテーマを絡めた”虐殺器官”の存在は単なる戦争アクションモノで終わらせません。

追悼

残念ながら伊藤計劃の新作を読むことはもうできません。著者は34歳の若さで肺癌で亡くなりました。自らは癌に蝕まれ死の影を感じながら、あらゆる病苦を克服した世界を舞台にした『ハーモニー』を執筆されたそうです。遺作『ハーモニー』は第30回日本SF大賞、第40回星雲賞日本長編部門賞を受賞しています。